ベトナム株について

このページでは株式投資情報の中でもベトナム株についてを扱っています。

歴史上類をみない空前の上場ラッシュに沸く株式市場

現在、ホーチミン証券取引所の時価総額が1.6兆円、ハノイ証券取引所の時価総額が7000億円。

両証券取引所を併せて2兆3000億円です。 この数字は日本の株式時価総額のわずか240分の1にすぎません。

現在、両証券取引所に上場されている企業は 200社余りとなっていますが、今後急拡大が見込まれます。

ベトナム政府は2009年までに上場企業数を770社まで増やす計画です。

また、アジア開発銀行では、2010年までに 1000社以上の上場企業が誕生すると予想しています。

このため、ベトナムの株式時価総額は今後5年間で現在の2兆円規模から10倍の20兆円に拡大するとみられます。 これは実に驚くべき上場ペースと言わざるを得ません。

社会主義国だからこそ政府の強力なリーダーシップのもとで可能になる文字通り国家的な一大事業です。 実は日本の株式時価総額は高度経済成長期の昭和30年(1955年)から昭和50年(1975年)までの20年間で10倍に拡大しました。

つまり、株式の時価総額10倍増という日本が20年かけて行ったことをベトナムはわずか5年で行おうとしているわけです。

私達、日本の投資家もこうした歴史上類を見ない空前の株式上場ラッシュという大きな波に乗らない手はありません。

これからベトナム企業の急成長が期待される理由には以下のようなものがあげられます。

  1. 教育水準が非常に高い
  2. 成人識字率は男性が96%、女性も91%と高い
  3. 勤勉で手先が器用
  4. 正直で素直な国民性
  5. 著名な科学者や、IT技術者を多数輩出するなど知能が非常に高い
  6. 総人口は8300万人と世界13位
  7. 平均年齢は24.9歳。日本の42.3歳、中国の31.8歳と比べて非常に若い
  8. きれいな人口ピラミッドを示し、労働力人口が今後、急速に増える
  9. 工場労働者の賃金は中国の2分の1、日本の30分の1と安価で良質な労働力
  10. 原油、石炭など豊かな天然資源に恵まれる
  11. 国家が株式市場の育成に力を入れており、企業の競争力が急速に強まっている
  12. 国営企業は生産性が低いが、民営化による労働意欲向上で生産性が急速に向上している
  13. 中国のリスク分散先として海外からの直接投資が急拡大している

過去2回の急騰劇

ベトナムへの投資を考える前にベトナムの株式市場がどのように推移してきたのかを理解する必要があります。

ベトナムの株式市場は2000年から取引を開始しましたが、まずは、ベトナム証券取引所開設以降の「VN指数」(日本の東証株価指数TOPIXに相当)の推移をご覧下さい。

証券取引所スタートと同時に買い注文が殺到

ベトナムに初めて証券市場が誕生したということが大きな注意を浴び、開設するや否や買いが殺到。

当時上場企業が2社しかない状況の中、買い注文が殺到し、急騰してスタートしました。

今でも証券取引所や証券会社の店頭は早朝から黒山の人だかりの賑わいをみせています。

しかし、当時はそれを上回る人が殺到し、朝の3時、4時から行列ができたほどの過熱ぶりでした。

しかし、株価が日々上昇する過熱状態を憂慮したベトナム政府は市場沈静化のために、

  1. 1日の変動幅(ストップ高)を7%から5%に引き下げ、
  2. 上場企業がこれから増えていくことを発表、

など市況冷却化施策を打ちました。 これによって株式市場は落ち着きました。

昨年は外国人投資家も本格参入

その後3年くらい株式市場は調整局面が続きましたが、2004年から再び上昇トレンドを回復し、再び投資家の目がベトナム株式市場へと向き始めました。

そして、昨年、ベトナム株式市場は2回目の急騰劇を演じました。

昨年の急騰の理由は下記のようなものです。

  1. WTO加盟が視野に入った
  2. 外国人投資枠が30%から49%に引き上げられた
  3. 外国のファンドがベトナム株式市場に参入してきた
  4. 政府が2〜3年前に不動産市況の沈静化施策をとったため、投資資金の行き場がなくなった
  5. 企業業績が好転してきた
  6. 中国のリスク分散先として注目を集め出した

なかでも1と2の要因が大きく、世界中の投資家がベトナム株式市場へ参入してきました。

これを見たベトナムの個人投資家も再び株式市場へ殺到し、株式市場は急騰劇を演じました。

ただ、ベトナム株式市場はまだ時価総額が2兆3千億円くらいと小さいうえに、個人投資家の取引割合が7割と高いため、急騰、急落が激しい市場です。

かなり割高になったベトナム上場株

昨年初から急騰したベトナム株ですが、上場企業としては小さな企業も多く、すでに上場株はかなり割高との指摘も増えています。

ホーチミンにサイゴンホテルという三つ星クラスのホテルがあります。

サイゴンホテルはわずか1棟(客室数106室)しかない小さな企業ですが、ホーチミン市場に上場されています。

わずか1棟しか持たないホテルの株が上場されているわけで、日本では考えられない話です。

しかも利益成長があまり期待できないにもかかわらず、PER50倍という割高な株価がついています。

日本では、ベトナム企業は利益成長が高いからPERでみてもまだ「割安」と主張する評論家もかなりいますが、数年先の利益まで織り込んで現在の株価が形成されているのは否定し難い事実です。

利益成長が期待できないにもかかわらずPER50倍の株価がついているサイゴンホテルは象徴的な例ですが、ベトナムの上場株式は全般に割高な株価がついています。

これは私どもだけではなく、ベトナム株を観察しているアナリストやエコノミストの共通した認識です。

この背景には、上場株式の銘柄数、時価総額が少ないなか、外資系ファンドなどがベトナム株という理由だけで購入している結果として株価が割高になっている面があることは否定できません。

「池の中の鯨」という現象が起きているわけです。

ベトナム上場株式への投資については、この辺りのリスクを十分理解しておく必要があるでしょう。

外国人のベトナム株購入の限界

もう一つの問題点は、外国人持ち株比率規制のハードルです。

ベトナム株に対しては外国人の投資に規制があり、上場銘柄については上限が発行済み株式数の49%(銀行等は30%)と定められています。

すでに大半の銘柄が外国人投資規制の上限である49%まで買い進まれており、買いたくても買えない状況になっています。

逆に買える銘柄は、きわめて流動性が低い銘柄、割高な銘柄です。

つまり誰も買いたくないから買える状態に放置されているに過ぎません。

個人で個別の銘柄を購入する場合ももちろんこれがネックになりますが、多くのファンドも同様の悩みを抱えています。

つまり、ファンドで大量の資金を集めても株が買えないとキャッシュポジション(株ではなく現金で持っている比率)が高くなり、株式市場全体(VN指数などで表される)の上昇に到底着いて行けなくなるわけです。

今後は、株式投資情報サイトで口コミなどを確認していくのが主流になりそうです。

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